ひとり田舎道を歩いていたら
向こうから一頭の牛がやってきた。
大きな牛で、しかも金色に輝いている。
思わず話しかけてしまった。
「おまえ、高そうな牛だな」
「ああ、わしは高いよ」
なぜか牛が返事をした。
「やっぱりな。なんせ黄金色だもんな」
「しかし、あんたはまた随分と安そうな人間だな」
これには、さすがにムッときた。
「ボロは着てても、心は錦だ」
「あんた、わしを売ってみねえか」
妙なことを言う牛だ。
「おれがおまえを誰かに売っていいのか」
「ああ、かまわんよ。
どうせ腹減ってるから誰かの世話にならにゃいかん」
「牛なら、道草でも食えばいいじゃねえか」
「いやいや。わし、ご飯しか食べられんのよ」
「・・・・なるほど」
さすが、高そうな牛だけのことはある。

元「koebu」ちょもらんまさんが演じてくださいました!